自動翻訳の技術が急速に発展しています。
でも実際のところどうなのか、英語の会議でも、こういった機器を通訳として使えるのか?
そこで今回はポケトークを使って実際に色々試してみました。
結論は「簡単なら会議なら使える」ですが、ただ重要な会議で使うには、注意も必要です。
こういった部分も含めて、ポケトークの性能と注意点をじっくり紹介しますね。
ポケトークの使い方
ポケトークを使うには、まず初めにネットワークにつないであげる必要があります。
実は私は、最初にネットワークを使わずにポケトークをつかおうとして、「全然使えない!!」と早合点しました。
意外とわかりにくい気がしたので、SIMなしでポケトークを使う場合の設定についてこちらに説明を載せておきますね。
① 背後にある電源ボタンを押す
② 上ボタンを2回タップすると、ネットワーク設定画面へ
このとき押さずに、スマホ画面にするように、タップするだけで大丈夫です。
※私は強く押しまくってしまったのですが、そうすると動作しません^^;
③ WIFIが選択されている状態で中央のボタンをタップ
④ 接続可能なWIFIがでてくるので選択します。中央のボタンをタップ
⑤ 一番上の「パスワード」を押します。パスワード入力画面になります。
⑥ パスワードを入力して、中央のボタンをタップ
⑦ 「接続」ボタンをおします
⑧ 無事接続できると「接続しました」とでてきます。これで設定修了
⑨ 実際に日本語→英語に翻訳をするときは、左の日本語側のボタンを押し、話します。
*私が使用したのは初代のポケトークです。最新版の設定は違っているかもしれません。
ポケトークで旅先の言葉を翻訳してみる
では実際に、ポケトークで旅先の言葉を話してみます。
「この近くにあるおいしい中華料理屋さんを教えてください。」
“Please tell me a delicious Chinese restaurant near hear.”
さすが、宣伝と同じように、簡単な質問はきっちり訳してくれます。
ではちょっと無茶ぶりしたことをいってみますね。
「この間河童を見たような気がするんですが、あれって夢だったのかどうだかわからないんですよね」
“I feel like I saw the kappa during this time but I do not know if that was a dream or not.”
ちゃんと訳してくれました。
ちなみに「河童」はkappa となっています。
実際の会議で河童は出てこないと思いますが^^ ポケトークの利用とは関係なく、(国際的に)一般的でない言葉や社内用語をつかう時には、説明が必要ですよね。
ポケトークでビジネスミーティングの言葉を訳してみる
旅先では使えそうなことが分かったところで、では、実際のビジネスミーティングで使えそうか、実験してみます。
会議では主語がなかったり、曖昧な言葉が多く用いられがちですよね。
はたして、こういった部分をどれだけちゃんと訳してくれるのか!?
この辺りを検証するために、あえて主語なし&曖昧な言い回しを使ってポケトークを試してみましたが、実験結果はこちらをご覧ください。
「わたしたちはあなたがたと継続的にビジネスをしていきたいと考えています」
”We are thinking that we want to do business on a continuous basis with you.”
「今後10%のお値引きをですね、特別に提供させていただきたいと考えています」
“I think that I would like to specially offer that 10 % discount in the future.”
「ただあの、納期については1ヵ月ほどお待ちいただきたいと思っています。」
“I’m thinking about just waiting for about one month as for the delivery date.”
「よろしければですね、先に契約書を結ばせていただきたいんですけど、今週中にフォームをお送りいたします。」
“If you do not mind, I’d like you to sign a contract earlier, but I will send you a form during this week.”
「ですので、今月末までにサイン済みの契約書をご返送いただけますでしょうか。」
“So, will you be able to return the signed contract by the end of this month’s picture.”
わりとちゃんと訳してくれていますが、赤文字のあたりが「意味が伝わらないかも・・・」と感じるところです。
「ただあの、納期については1ヵ月ほどお待ちいただきたいと思っています。」という部分、ポケトークは、”I’m thinking about just waiting for about one month as for the delivery date.” と訳しました。
これでは「私が納期を一カ月ほど待とうと考えています。」となってしまい、誤解が生じかねません。
これはちょっと、マズイですね( ゚Д゚)
多少の誤訳は問題ない場合が多いかと思いますが、ただビジネスミーティングでは数字が関係する場所は非常に大事です。
大事な商談で使うなら、トラブルを避けるために重要な数字は言い方を変えて何度も言う、またはホワイトボードに書くといった工夫をしたほうが良いでしょう。
ポケトークで英語を日本語にしてみる
ここまで、日本語→英語の翻訳性能を確認してきました。
実際の場面では、日本語を英語にするだけでなく、相手の英語を日本語にする必要もあります。
そこで英語→日本語の性能も見てみましょう。
”We are interested in the business with you, but there are some points that we need to discuss more”
「私たちはあなたとのビジネスに興味がありますが、もっと議論する必要があることがあります。」
ぎこちないながら、意味は通りますね。
ポケトークの翻訳エンジンが高性能な理由
誤訳もありますが、ただ、全体的には、思っていた以上にかしこいポケトーク。
一体どんな仕組みになっているのか見てみましょう。
まずは翻訳を行っているエンジン部分についてです。
ポケトークの翻訳エンジンはGoogle機械翻訳
ポケトークはオンライン上のGoogleの機械翻訳エンジンが翻訳をしています。
機械翻訳は長い間、日本語を翻訳する場合には「どうしても機械くささが抜けない」訳しか作れず、実用化される場面は限られていました。
ところがしばらく前から、この状況に大きな変化が訪れたのです。
人が学習するのと同じように「自分で学習して、文脈や情景から自分で判断する」というプロセス、いわゆる「ディープラーニング」が可能になり、エンジン性能が一気にアップしました。
この高性能のGoogleエンジンは、ポケトーク以外の商品にも活用されています。
また実際の翻訳の現場でも、機械翻訳が利用されることが増えていっています。
エンジンの開発は今も進んでいるので、ポケトークの性能もさらにアップしていきそうですね。
機械翻訳についてもっと知りたい場合は、こちらのAI翻訳の記事も併せて読んでみてください。
現在74言語に対応しています(2018年11月18日現在)が、言語によって最適なエンジンを採用しています。ちなみに日本語→中国語のときは、日本の国立研究開発法人NICTが開発している翻訳エンジンが使われています。
話し言葉を翻訳するためのポケトークのすごい機能
Googleのエンジンを使っているってことは・・・「ポケトークじゃなくて最初からGoogleをつかえばいいじゃん!」って気もしませんか?
ただ、話し言葉をそのままGoogle翻訳にかけるとあまり良い結果が得られません。
ポケトークはGoogleの翻訳結果を良くするために、2つの機能を備えているのです。
文脈に応じて言葉を変換する機能
ひとつめの機能は、話し言葉を文脈に応じて正しい文字情報に変換する機能です。書き言葉と違ってやっぱり口語になると、言葉がくずれやすくなりますよね。
そこでポケトークは話し言葉を文字情報にする際、あとから聞いた単語を基に、最初に聞いた単語を正しく認識しなおしてくれます。
つまり文脈から判断して聞き間違えた言葉を訂正する、という高度な変換機能を搭載しているのです。
先ほどの動画を見てもらえると、このあたりの処理が分かります。
0:18の箇所ですが、「あのですね今後そういうあの子」と誤変換しています。
ですが言葉を続けていくと勝手に「あのですね今後の10%のお値引きをですね特別に提供」と変換し直しています。
ポケトークは、私たち人間が無意識に行う高度な変換を行い、品質の良いGoogle翻訳を引き出しているのです。
いらない音を除去するノイズキャンセリング機能
ポケトークの優れた機能2つ目は、ノイズキャンセリング機能です。
こういった自動翻訳機は町中で使われることも想定されていますが、ポケトークにはこういった人ごみの中でも、翻訳すべき声を認識してくれる機能が搭載されています。
ためしに少しうるさいところでポケトークを試してみましたが、ちゃんと声をひろってくれました。
他にも追加してお伝えしておきたいポケトークの特徴としては、バッテリーの持ちがよいこと、起動が早いことですね。
まとめ
今回はポケトークの機能と仕組みを紹介しました。ほんやくこんにゃく機で効率化を進めてみませんか?
【まとめ】
■実際のミーティングで使うような長い文章、曖昧な言い方を訳してみたところ、想定以上に良く訳してくれる印象です。ただポケトークが翻訳を間違える、ということもあります。重要な点を伝える時には何度も言う、ホワイトボードにも書く、といった工夫が必要でしょう。
■仕組としては、オンライン上のGoogle機械翻訳エンジンが翻訳をします。
■普通にGoogle翻訳を使うのに比べ、ポケトークは話し言葉を正しい文字情報にする機能がついています。また騒がしい中でもきちんと声をひろうノイズキャンセリング機能も搭載されています。
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