ライザップのニュースが連日流れています。
赤字、株価ストップ安、と不穏なニュースばかりですが、少し前まではもてはやされていたはず。ライザップに何がおこったのでしょう。
また、少し前までもてはやされていたライザップの英語教育や、2ヵ月で200点スコアがアップする、とも言われているTOEIC講座について、実体はどうったのでしょう。
調べてみたところ、講座の内容自体はよさそうですが、受講料は高いです。というのも、ライザップの講座は、受講生のモチベーションの維持まで面倒を見てくれるのが特徴。勉強のスケジュールまで考えてくれます。
ライザップの理念や、実際にどんなカリキュラムなのか、そして価格に見合う講座なのかどうか、詳しく見ていきます。
ライザップの業績悪化の理由~実はカミングアウトしただけ!
ライザップは、実は、現在40歳になる瀬戸社長が一代で築き上げた会社です。
瀬戸社長は、自身の経験をもとに、ライザップのコンセプトを考えます。
”小さいころから「できない」「だらしない」といわれて育ってきたため、自己実現を続けることが瀬戸自身の考え方の根底に根付く。”
参照元:ウィキペディア 瀬戸 健
写真引用元:ライザップホームページ 企業情報
2011年、瀬戸社長は自らのダイエット成功経験をもとに、2カ月で成果をだす個別指導型トレーニングジム ライザップの事業を展開。スローガンは『「人は変われる。」を証明する』。
そして急成長を果たします。
ですが、最近(2018年11月)、株価の大暴落を引き起こしています。原因は、「純損益が70億円の赤字に転落する」と発表業績の大幅な下方修正を発表したため。
”会見に臨むRIZAPグループの両トップ。瀬戸健氏(=左)、松本晃氏(=右)”
参照元:IT Media “経営陣と松本氏は「健全な対立関係」にある――RIZAP両トップ、赤字転落の裏側語る“
これまで、ライザップはM&Aを繰り返し成長してきました。
そのなかには、財政状況の悪い会社も含まれています。そうした会社は「負ののれん」と呼ばれます。負ののれんは、合併した年には利益として計上される、という会計のトリックがあります。ライザップの業績はこうしたトリックで、表向きは良く見えていたのです。
ですがこんなことは長くは続きません。
今年5月にライザップのCOO(最高執行責任者)に就任した松本晃氏*が、ライザップの実情に懸念をいだき、社長に進言したことで、今回のリリースになったと報じられています。松本氏はカルビーのCEOまで務めた人物です。
*松本氏は2018年10月1日付でCOOの肩書が外れ、「構造改革担当の代表取締役」というポジションとなっています。
つまり今回の騒動をひとことでいうと、「これまで言いづらくって隠していたけれど、本当の業績はこうでした!!」とカミングアウトをしたところ、思った通り、株価大暴落の結果が起こった、ということですね。
ライザップの業績については、しばらく前から分かる人はわかっていたようですが、表向きの数字だけを見ていると、こうした実態は分かりません。
今回実情が明るみになったことで、ニュースとして世間をにぎわせています。
ライザップの英語教育事業は今後どうなる?
今現在、ライザップにはCD事業など、本業とは関係のない事業が統合されています。なんと、あの「ぱど」もライザップに合併されています。
今回のカミングアウトはによって、これまでのような派手なM&Aはやめて、本当にライザップの本業に関係のある事業にしぼる、といった方向転換が予想されます。
英語教育事業については本業にばっちり重なっているので、今後も力をいれていくのではないかと予測されます。というのも、英語とトレーニングって一見関係なさそうですが、実は、かなり似ています。
両方とも、コーチなしでもできます。ただ決めた目標に対してモチベーションを維持・管理するのが大変です。いつやめても周囲に何も迷惑がかからないので、ついつい継続できなくなってしまいます。
こういった人たちに対して「あなたと一緒ににモチベーションを維持してあげる」というのがライザップのビジネスモデルです。
ライザップでは英語でもトレーニングでも個別のトレーナーがついてくれて、受講者と一緒に目標達成に向かっていってくれます。
ライザップの理念は、「能力よりもゴール設定」
では実際にどういった形で英語・TOEIC講座のカリキュラムが組まれているのか、見ていきます。
ライザップの英語教育カリキュラム
ライザップの英語は次のような流れで進んでいきます。
■無料カウンセリングからスタート
まずは無料のカウンセリング。
そこで自分の3ヵ月後の目標を聞かれます。
またスピーキング・リーディング・単語力・ディクテーション(書き取り)・・・と、多方面から英語力をチェックしてくれます。
これによって、今後伸ばすべき場所がはっきりします。その後、英会話コース、またはTOEICコースへ申し込みます。
■実際のコース
週5回のオンラインレッスン、週2回のテストがあります。
これに加えて1日3時間の宿題をこなします。宿題でやってきた内容を基に、レッスンを行います。
レッスンはコースによりますが、ディクテーション、音読、日本語→英語への言い換えなどから構成されていきま。コーチのカウンセリングもついていて、時間の使い方や学習方法をサポートしてくれます。
忙しい人もスキマ時間を有効活用して、1日3時間の勉強時間を確保して、きちんと英語の勉強を継続できるようにするためです。
■価格
気になる価格ですが、TOEICコースでは、一番安い2カ月コースだと、入会金・税金を含めて40万円ちょっと。
英会話コースでは3ヵ月のコースで、50万を超えます。
引用元:ライザップ英会話力養成コース
これに加えて教材を別途購入が必要です。コースには30日間の返金保証がついています。
ライザップの英語・TOEICコースは価格にみあうか?
ライザップの英語・TOEICコース、お値段的には、わりと高いです。
その内容としては、英語を話せるようになるための基本ステップで構成されています。
①まず、目標設定をする
②自分の弱点を認識して、これをもとに勉強方法を決める
③1日のスケジュールを見直して、英語を勉強する時間を決める
④実際に1日3時間、英語を勉強する
⑤定期的に成果を確認する
①目標→②勉強方法を決める→③習慣を変える→④行動する→⑤成果を確認する
勉強方法についても、ライザップで実施されているのは王道といえます。日本語→英語と言い換えを地道にくりかえし、アウトプットを積み重ねていくことが大切です。
こういったステップや方法だけであれば、高い授業を払う必要はありません。
ただ、実際には多くの人が英語に挫折してしまいます。原因は、①の目標設定の部分が弱すぎることです。目標設定が弱いとモチベーションが維持できず、一人で英語を続けていくことはできません。
英語を話せるようになるには、1日2~3時間、英語を勉強するという習慣をキープする必要があります。忙しい中、たかいハードルです。さらにこの努力を3ヵ月~1年、継続しなければいけません。
「英語そのものが好き」というのでなければ、なかなか続けれません。英語を勉強する目的として、「海外旅行で英語で話せるようになりたい」「東京オリンピックに向けて、英語をもう一度がんばりたい」という人います。正直、忙しい日常の中で、この程度の目標では、英語を続けていくのは大変です。
ライザップはこうした人間の弱点を知り尽くしています。
そこで、ひとりでは続けられない人のために、専用のトレーナーが目標達成までの道をサポートをしてくれるのです。
「サポートがなければ、モチベーションを維持できない!」という人には、ライザップのサービスは、十分価格にみあっているサービスです。
ただ、「自分で頑張れる」という人には、そこまで高い受講料を払う必要はないと思います。
また、ライザップ方式には、ひとつ落とし穴があります。
ライザップのコースを受けている期間は頑張るのですが、通うのをやめてしまうと、勉強をやめてしまう、という落とし穴です。そうすると、英語力はどんどん低下してしまいます。
これは英語だけでなく、色々なことに言えることです。
実際、ライザップのダイエットをやっていた私の知人2名は、コースがおわってから、どんどんリバウンドしてしまいました。
ダイエットも英語も、自分でモチベーションを維持できるほうが、達成した成果を継続できます。モチベーションの維持を外部に頼ってしまうと、そのサービスをやめたとたん、頑張った成果を維持できず、元に戻ってしまう可能性があります。
まとめ:ライザップがおすすめの人、そうでない人。
ライザップグループの業績は悪化しています。
今後は本業にしぼった経営をしていくことが予想されます。英語事業は本業と関係なさそうですが、目標を決めてゴールまでの道をトレーナーが一緒に進む、という方式は、本業のトレーニングと一緒です。
実際のカリキュラムについては、英語が話せるようになる、TOEICのスコアがあがる王道の方法をとっているという印象です。
授業料は高いですが、専用のトレーナーがついてくれます。勉強のスケジュールまで見てくれて、1日3時間英語を勉強しつづける体制を作っていくので、それなりの成果も期待できます。
私自身、「人は変われる」というライザップの考え方は大好きです。きちんとサービスを提供してくれるので、けして悪い会社ではありません。
ただ、もしあなたが、自分で目標を設定して、モチベーションを継続できるのであれば、ライザップに高い授業料を払うのはもったいないです。モチベーションさえ維持できれば、正しい勉強方法を行えばTOEICの高得点は取れます。英語もある程度話せるようになるからです。
「英語のモチベーションを維持できるかどうか」、この点が、英語のために高いお金を払うかどうかの分かれ道ともいえます。
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