英語を使った仕事、というと、「英語力」に目がいきがちですが、採用担当者が見ているのは、じつは「英語力」より「仕事力」です。
採用側が一番知りたいポイントは「あなたの英語が上手か」より、ずばり「あなたはウチにどんなメリットをもたらしてくれるか」なんです。
日本の会社でもそうなのですが、日本の会社の面接は、質問にこたえる、といった流れで進むことが多いです。
同じ態度で面接を受けると、外国企業からは「積極的ではない」「メリットがわからない」と受け取られてしまいます。
採用担当者の心をつかんで面接を突破するコツ、お伝えしますね。
面接は自分が何をできるかアピールする場所
私は以前、海外企業の面接に参加させてもらったことがあります。
そこの会社はヘッドハンティングのサービスをつかい、候補者を何人か集めました。
そこで、インタビューが行われました。
インタビュー中、採用担当者は、英語で色々な質問をしました。
それがなかなか、答えるのがむずかしい質問ばかり。
たとえば、「具体的にどんなマーケティングプランを考えていますか?」といった質問です。
質問をされた人はとまどっていましたが、みなさん、きちんと答えていました。
大体の方が「以前こういうことをした経験があるので、こういった方法をとる」
といったに返事をされていて、前職でのすばらしい経験もよくわかりました。
ただ、説得力はあったものの、なぜか、私のなかに、腑に落ちない部分があったんです。。
面接終了後、候補者が帰った後、わたしはその担当者に感想を聞いてみました。
彼は面接の間、楽しそうに話を聞いていたので、きっと満足したと思っていました。
ところが彼の返事は意外なことに、「うーん・・・いまいちだね」でした。
「ええっ!!」と思った私は、いったいどんなところが不満足だったのかつっこんでみると、
「だって、質問しないと、話さないんだよね。」
「それに具体的なプランも用意していないし。」
といわれました。
なぜ自分が腑に落ちなかったか、わかった気がしました。
候補者たちの話は「自分が過去にやっていたこと」に焦点があたっていました。
「自分がいま面接をうけている会社」の「自分が扱うであろう商品」で、どういったプランがあるかを話してくれると、もっと、採用担当者に響いたのではないかと思います。
面接を受けた人たちは、ホームページなどを見てある程度、会社のことは調べてきていました。ただ、具体的なプランを作るには、さらに深いリサーチや競合製品に関する調査が必要です。はたして、面接前にそこまでの時間と労力をかけるものなのか。
気になった私は、彼に、日本以外の国での面接について、聞いてみました。
彼は少し間にアメリカでも面接を実施していたのです。
アメリカではマーケティングプランを携えてやってくる候補者もいたとのことでした。
さらにレポートを作ってきて、「(自分が入社すれば)こういったことができる!」ということをプレゼンした人もいたというのです。
それを聞いて、目からウロコがおちた気持ちでした。
面接とは、質問に答える場ではなく、「自分を売り込みに行く場所」なのだと感じました。
受かるかどうかも分からない段階で、面接を受ける会社のことを細かく調べつくすのは、時間の無駄になってしまうかもしれません。
ただ、面接で採用されれば、当然、年収の話になります。
面接で自分を高く売り込むことに成功していれば、年収の交渉は有利に運べます。
こういったことも折り込み済みで、面接に臨んでいるわけです。
日本人は面接待ち受け型
この経験があってから、私は日本人と外国人の意識の差について、考え始めました。
知り合いの 元リク○ー○で人材派遣をしていた人に聞いてみたところ、面白い話をしてくれました。
ある有名電気メーカーでは、面接時に、できるかぎり候補者の力量、スキル、考え方を知りたいと思っていました。
そこで、求人募集の際、あるトピックに関するレポートを添付することを条件にしたそうです。
ところが!!
条件を増やしたとたん、応募者が一気に減ってしまい、選ぶどころではなくなってしまったそうです。
当然ながら、採用する側にとっては応募者はできるかぎりたくさん集めたいところ。
以降、こういった条件を課すことはやめたそうです。
なぜ日本人は待ち受け型なのか
ではなぜ、日本の面接は、外国に比べて、待ち受けタイプになってしまうのか・・・。
私は、原因は、日本の終身雇用制と、キビシイ労働法にあるのではないかな、と思います。
実はこれ、日本独特の働き方です。
この働き方が、私たちの面接での態度や、色々なところに影響をおよぼしているのかな、と思うのです。
くわしく、ご説明していきますね。
日本の終身雇用制と労働法
日本では第二次大戦後、高度経済成長期にかけて、「終身雇用制」という独特の雇用文化がうまれました。
ひとつの会社に忠誠をつくし、一生そこで働くという方法です。
以前はそうすることで出世と年収が約束されていたので、効率が良いシステムでした。
ただバブル崩壊以後、少しずつ経済成長がとまってきたので、この体制を維持できなくなっています。
それにも関わらず、この終身雇用制を可能にしてきた日本の厳しい労働法の元では、企業は簡単に人を解雇することができません。
働く側が会社をやめることは自由ですが、企業からは実質、人を解雇できないのです。
これは日本にいる私たちからすると常識ですが、外国企業からすると、かなりの衝撃であるようです。
以前、日本に進出したい外国企業向けのセミナーに出席したことがあります。
そこで、「日本ではこんな理由で人を解雇できません」といったことを説明するセッションがあったのです。
例をあげると、
仕事をこなす能力が低い、
態度がわるい、
連絡なしに休む、
会社外での軽い犯罪行為
といった理由です。
【セミナーでのスライド映像】
プレゼンターが、「たとえば遅刻ばかりするとか、仕事ができないことで、正社員は解雇できないのです」と解説すると、早速、外国人から質問がとんできました。
「それでは、日本で人を解雇するときは、どうしたらいいんですか!?」
すこしの沈黙の後、プレゼンターは答えました。
「専門家に相談しましょう」
この返事をうけて、明らかに海外企業の採用担当者にどよめきがありました。
日本の常識は海外の非常識であることを、あらためて感じました。
外資系企業というと、容赦なく人を解雇するイメージがあるかもしれません。
ですが、そういったことで有名な某外資系企業も、日本では他国でやるような方法はとっていません。日本で下手なことをしたら、裁判沙汰になってしまうからです。
日本人にとって会社とは
終身雇用制ときびしい労働法に守られてきた私たち日本人にとって、一般的に、会社は「守ってくれるもの」という意識があるように思います。
会社のために忠誠心をもって長く働こう、という意識が生まれていきます。
そこで、「従順である、協調性がある、」といったことが大事な要素になります。
そういったところから、面接での態度も、待ち受けになってしまうのではないでしょうか。
かたや海外では、会社は、給料以外に自分のキャリアをのばせる機会をくれる場所。
そして自分は、会社にメリットを提供する立場です。
メリットを提供できなければ解雇されることは、当然です。
なので、面接でも「自分が何をできるか」アピールする必要があります。
どちらが良いとか悪いとかはいえませんが、外国の会社と働くときは、働くことに対する意識の違いを理解しておいたほうがよいのかな、と思います。
まとめ:海外の会社の心をつかむには
日本と外国では「雇用」に対する意識が違います。
日本の終身雇用制、労働法は、わりと特殊な制度です。
こういった制度の違いのためか、日本の面接のスタイルは、海外に比べると、待ち受け型。
日本では「質問にこたえる」というスタイルですが、海外ではそれだけではなく、「自分がどんなメリットをもたらせるか」アピールをすることが期待されています。
以前の経験を伝えるより、もし自分が採用されたら何をしたいか、どんなメリットがあるか、具体的に伝えられると、面接での印象は一気に上がります。
こんなふうにお話しましたが、じつは私も、完全待ち受けタイプでした^^;
私の場合は自分の条件も悪く、普通に日本の会社の面接に落ち続けました。
そこで戦略を変えたところ、面接を突破できました。
★不利な条件での面接突破はこちらの記事ごらんください★
私がとった戦略、日本では面接に準備をしたり、積極的なアピールをする人がいないから通用したのかな、と思います。
もしあなたに、「絶対にここで働きたい!」「この商品を売りたい!」という会社があるのなら、面接ではぜひぜひ、エネルギーと時間をかけてのぞんでくださいね^^
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