英語を話せるようになると、実践で英語を使う機会が増えてきます。
そこで出てくるのが、文化や価値観の壁。
仕事で英語を使う際には、外国企業と日本企業の価値観の違いのなかで、板挟みの状況になってしまう場合もよくあります。私は海外の会社と契約して日本の企業にツールを紹介していましたが、こういった壁にぶつかってきました。
せっかく英語が使えるようになっても、この壁を乗り越えて、価値観を調整できないと、仕事がうまくすすめられません。
そのためには、まず、「外国からみて、日本の会社が変わっている3つの特徴」を理解しましょう。
こういったポイントを理解することで、外国企業との間に問題がおこったとき、「なぜ問題がおこったのか」原因をつきとめやすくなります。
最後に実際に問題を解決するときに役立つ考え方をご紹介しますね。
外国からみて、日本が変わっている3つの特徴
外国人から見て、日本の会社は次の3つの「変わっている」ポイントがあります。
日本にずっといると当たり前、と思う部分も、実は国際的にみておかしかったり、外国人には理解できなかったりします。
理解してもらいにくいポイントがあらかじめわかっていると、トラブルが起こった時、どういった点が外国企業にとって問題とうつっているのか推測しやすくなります。
日本人の特徴① 今までのやり方を変えない
よく日本のガラケーは、「ガラパゴス化している」っていわれます。
ガラパゴス島は、南米エクアドルにある孤島です。
画像引用元:ガラパゴス諸島はなぜ世界遺産になったのか?その成り立ちと歴史
そこには進化の歴史から取り残され、独自に進化を遂げた生き物たちが住んでいました。
ダーウィンがはじめてガラパゴス島にいったとき、普通の大陸にはいない動物たちに驚いたそうです。独自なドウガメやイグアナたちがうごめいているんです。動物たちは外部とつながっていないので、独特の進化をとげていたのです。
皮肉なことに、日本の高度なガラケー携帯電話は、「ガラパゴス化している」と言われます。
使いこなすことができないぐらい色々な機能がついています。ですが、気づけば世界はスマホへ。せっかく開発した機能が多くの人に使われず、非常にもったいないことになってしまいました。
これと同じようなことが、日本の企業内でも起こることがあります。
日本の会社の多くは、社内独特の文化をもっています。
外部のシステムを導入する場合も、新しいものにあわせるのではなく、既存のやりかたにあわせようとするケースが多くみられます。
その結果、ツール開発側にカスタマイズを依頼したり、既存のシステムにあわせるツールが新たに必要になり、時間と予算がどんどん増えていく傾向があります。
反対に欧米の会社では、新たにプラットフォームを導入する際には、自分たちのやり方をプラットフォーム側に合わせる傾向があります。このほうが時間とコストが安くすみ、効率的だからです。
このため、外国人は、日本人がなぜ非効率的な細かい要望をしてくるのか、理解できないことがあります。
日本人の特徴② 意志決定はみんなでおこなう
さらに日本では色々なことを「会議で話し合ってみんなで決める」習慣があります。
これだと、今のやり方を変えようとするとき、反対する意見がでやすいですし、もし採用されても、スピード感をもって進めることができません。
私は日本の企業向に海外のツールを紹介していたので、色々な会社でプレゼンテーションを行い、ツールの導入までみてきました。日本の文化が強い会社では「良い」という判断がでた後、導入までに時間がかかります。
というのも、担当者レベルでの判断の後、社内の調整が始まるからです。
対照的に、ベンチャー的な文化をもっているお客様や外資系だと、早く判断してもらえる場合が多くありました。
もちろんどちらが良いとか悪いというのはないと思います。どちらもメリットとデメリットがあります。
ただ、外国企業からみて、「この日本のスピード感はおかしい」と思われる場合があります。
以前聞いた話をご紹介します。
自分の国で成果をだしたある会社が、アジアに進出しようとしました。大企業だけでなく、優良な中小企業がそろっている日本にしかけることにしました。
ところが、日本の会社は、プレゼンテーションをすると良い反応ですが、そのあと、なかなかすすみません。理由がわからず、担当者はじらされた気持ちになりました。
ついに担当者が海外と日本のビジネスの違いを知る知り合いに相談しました。すると、「スピードを求めるなら、日本はやめたほうがいい。時間がかかって当然だから。もし早くすすめたいなら、韓国にいってみたら?」とアドバイスされたそうです。そこで、その会社は日本はあきらめ、他の国からせめていくことにしました。
たしかに日本でうまくいけば、リターンは大きいかもしれません。ですがそれまでに資金が底をついてしまっては元も子もありません
「みんなで決める」日本の文化のおかげで、日本は外国から見て「気に入っているのかどうか分からない」「何か決めるまでに時間がかかる」国になっているのです。
日本人の特徴③ 日本の終身雇用制は外国企業からみたら恐怖
外国人からみた日本の特徴として、もうひとつ、大きなポイントがあります。
それは、「終身雇用制」
どんどん変わりつつあるとはいわれていますが、日本人はやっぱり、ひとつの会社に長く務める傾向があります。
それがどんなふうに見られているか、以前出席したイベントであらためて知りました。
日本に進出したい外国企業向けのイベントでしたが、そこで、「日本ではこんな理由で人を解雇できません」といったことが説明されました。
日本ではたとえば、次のようなことがあっても、すぐに人を解雇することはできません。
仕事をこなす能力が低い、
態度がわるい、
連絡なしに休む、
会社外での軽い犯罪行為
日本人からすると当たり前に感じますが、会場にはどよめきがありました。
最後にプレゼンターが、「たとえば遅刻ばかりするとか、仕事ができないことで、正社員は解雇できないのです」としめくくると、すぐに外国人から質問がとんできました。
「それでは、日本で人を解雇するときは、どうしたらいいんですか!?」
すこしの沈黙の後、プレゼンターは答えました。
「専門家に相談しましょう」
【イベントでのスライド映像】
この返事をうけて、さらによめきがありました。
そこで、私はあらためて、日本の終身雇用制、「クビになりにくい文化」は、外国人からみたらおかしいということに気づきました。日本人を雇いたい外国企業からすれば、間違ってしまった人を雇ったら解雇する権利がないというのは、ものすごいリスクです。
外資系企業というと、容赦なく人を解雇するイメージがあるかもしれません。
ですが、そういったことで有名な某外資系企業も、日本では他国でやるほどの方法はとっていないと聞いたことがあります。日本で下手なことをしたら、裁判沙汰になってしまうからです。
問題が起こったときの考え方のポイント
外国人からみて、日本人が変わっている3つのポイントを見てきました。
次に、実際に外国企業との間にトラブルがあったときの考え方のポイントをご紹介します。
問題解決に役立つ考え方のポイントは、問題が起こったのが次のどのレベルかをつきとめること。
レベル1:国としての文化があわない
レベル2:会社としてのやりかたがあわない
レベル3:担当者のやりかたが独特であわない
そしてもしレベル1に該当するなら、「問題が起こって当然。解決できなくても仕方ない」という気持ちでいくことです。
なぜなら、外国と日本の社会・文化レベルの違いで生じている問題が、そんなに簡単に解決できるはずがないからです。
私自身、外国企業と日本の会社の意見の違いの間にたたされ、悩んだときに、この考え方を知り、楽になりました。レベル1の問題は、ただ、忍耐強く違いを伝えるか、あきらめるか、どちらかだとわりきってしまうのがおすすめです。
前項で紹介した「外国人から見て日本が変わっている3つのポイント」は、まさに、この国レベルの違いです。外国人に理解してもらうのは大変かもしれません。
逆に相手の国レベルの特徴があれば、理解するのは大変かもしれません。ただお互い良い関係を気づきたいのであれば、精一杯理解しあうしかないように思います。
逆に、レベル2:会社としてのやりかたがあわない レベル3:担当者のやりかたが独特であわない の問題であれば、解決していくことができそうです。社内で調整したり、他の担当者に相談する、といった方法が考えられます。
まとめ
日本の価値観ややり方は、外国から「ええっ!?」と思われていたりします。外国からみて、日本の会社が変わっている3つの特徴は、次の通りです
日本人の特徴① 今までのやり方を変えない
日本人の特徴② 意志決定はみんなでおこなう
日本人の特徴③ 日本の終身雇用制は外国企業からみたら恐怖
自分たちが外からみてどうなのかを知っておくことは、外国人と仕事するうえで大事です。
ですが、もちろん、外国人だって、変わっています!
もし行き違いが発生したら、その原因が、次の3つのレベルのどれかを考えてみるのがポイント。
レベル1:国としての文化があわない
レベル2:会社としてのやりかたがあわない
レベル3:担当者のやりかたが独特であわない
国レベルの問題であれば、そうかんたんには解決できません。そういった気持ちでいると、気も楽になります。
トラブルが起こった時、外国企業と日本企業のやりかたの違いに悩んだとき、参考にしてみてください。
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